かなーりおもしろかったです。物語としては本公演より出来がよかったんじゃないかと。サイトーくん素敵ぃ。やるじゃん!
あ、開始5分で、いきなりものすごい美琴さなえちゃん@韋后を観られたりして、非常に喜ばしかったです。いやあ、いきなりつかまれた。星組ってスゴイ!

【ユズキ@玄宗】
だいたい想像通りでした。玄宗が若かったです。
青年時代のわたさん玄宗も十分若くてエネルギッシュだと思うんですけど、ユズキ玄宗はナチュラルにそれよりもっと若くって。勿論キャリアが違うから当たり前のことで、それが新公ではいいほうに出てたかな。若かったから、幕開きのヒゲ付き晩年玄宗との落差がすごく大きくてね。後述するじゅんなちゃん@仙人のセリフ回しも相まって、本編はあくまでも玄宗の観た夢まぼろし、って感じがよく出てました。
あの瞑セリフ「お前たちにも責任があろう!」っていうのが、責任転嫁でなく聞こえたんですよ。「まったく責任がない人間なんて居ないだろう? この場に居るお前たちにだって、いくらかずつは責任があることを忘れるな。当然自分にも責任がある。貴妃にもいくらかの責任はある。だけど、貴妃にだけ責任をおしつけて殺して終わりにできると思ったらそれは絶対に違う。だから自分は貴妃ひとりを殺させたりはしない」って、ニュアンスを感じた。これがいちばん衝撃でした。だってほんとうに素直にそう聞こえたんだもん。私だって驚きました。
ユズキ玄宗はまだ若くして即位して、しばらくは学びながら政務に向かっていただろうし、楊貴妃と出会うまではきちんと側近たちと連携しながら政務をこなしてたんだろうし、側近たちとの間に確固たる信頼感があったんだな。で、あれだけ楊貴妃に溺れた後も、それいくらか残ってる。

【大真くん@安禄山】
安禄山は二枚目の悪役でした。非常に解りやすーい。
雑胡と呼ばれ、常に劣等感を意識し、いずれ上に上がっていく時を、虎視眈々と狙ってる。
最後立ち回り終わって銀橋で決まったとこでね、高笑いすると思わなかったんで、非常に驚きました。
安禄山の戦いはここから始まる。ここからが本番。そこまでは、すべてそのための下準備に過ぎないんだ。
高笑いの裏で「新たな戦いのはじまりだーっ!!」って叫んでるのが聞こえました。幻聴です。公演違います。いや、でもほんとにそんな感じでした。
「安史の乱」のその先が少し見えました。あの高笑い。破滅してゆく人の美。

【ヒヅキ@楊貴妃】
どこにでもいそうな極フツーの女の子が、たまたまフツーじゃない人と恋に落ちて、思いも寄らぬ生き方を強いられる。典型的シンデレラストーリーの悲劇、でした。
うめ楊貴妃は、最後まで「玄宗に恋したひとりの女」でした。宮廷に入って、みんなの前で玄宗に貴妃の位をもらって、それはそれですごいうれしかったんだけど、でもほんとはそんなものにはあんまり興味はなくて、ただ玄宗の傍に居たいだけ。国も、位も、権力も、ほんとうにどうでもいい。だから玄宗が皇帝としてダメになっていくのにもまったく気づかない。
私個人的に、本公演の楊貴妃の人となりが全然理解できないんですよね。あの人、権力なんて要らないっていうその影で同時に、権力にすごい執着してるから。こっちの楊貴妃のほうが、いざぎよい小粒ぶりで好きです。貴妃なんて立場にならないほうがよかった、極フツーの女の子の悲劇。
でも、さすがにちょっとやせすぎ…。ライトが当たると頬にくっきり影が出来ちゃって、あまり綺麗に見えなくって。特に歌を歌ってる時の顔が怖いです。あれだけ使われてて、プレッシャーもかかるポジションで、仕方ないんだろうとは思うんですけど、どうにかしてもう少しふくよかになれないかなあ。惜しいです。すごく惜しい。(でも新公観ながら、今のこのうめちゃんに青の洞窟の溺れる少女役をふったオギーは、ほんと神!!とつくづく思いました……)

【ゆかりちゃん@国忠】
この人には、なにがなんでも1回は新公主演させとくべきだったんじゃないでしょうか。たとえ、その1回の主演のせいでその後微妙な立場におかれ、微妙な扱いをされることになっても(誰のコト言ってるの?)(いやあ……)(…うちの御贔屓)(うわーいっちゃった!)。なんのためにTCAに出したんでしょうね? TCAの時には、路線にのせるつもりがあったんじゃないのかなあ? 
この方の観察はたのしいです。毎回毎回観るたびに、みるみる男役度が上がっててびっくりします。「今日は昨日より○センチ伸びました」ってさくさく書けるアサガオの成長観察記録みたいな。
そういいつつ同時に、今回、国忠をやってくれてほんっとーによかったなあ、とも思っています(まあ当然、玄宗をやったらそれはそれで凄い経験になっただろうけども)。
ゆかりちゃんは、しいちゃんとはだいぶ持ち味が違うので、その上で、もう一度しいちゃんの役をやれたのは、いい修行になったのでは無いかと。だいぶどころの話かよ。
あ、立ち回りの美しさに、いい意味で、立樹DNAが入ってたように思いました。うれしかったです。(わあ!石投げないでよ!)(だって私、立樹担だから!)
あ、三姉妹と一緒に「♪めでたやめでたや」歌った後の(本公演では)真顔に戻るとこ、絶対観ようと思ってたのに、ついつい三姉妹に気をとられて見逃しました。痛恨の一撃。

【みなみちゃん@梅妃】
すんごいよかったです。みなみ梅妃は、まごうことなき宮廷の女でした。宮廷の理の中で生きている女でした。「あんな女にバカにされるなんて…!」が、ただの嫉妬からの言葉ではなく聞こえてきました。宮廷の理を知ろうとせぬままのうめ玉環との、決して埋まらない溝をちゃんと感じさせてよかったです。一見おっとりゆったりとしているその裏に、凛とした矜持が垣間見えて、権謀術数渦巻く大奥宮廷模様をひとりできちんと体現できてました。新公うめ玉環に対しての新公梅妃の作り方としては大正解じゃないかと。
勿論、しっとり感が持ち味の本公演の檀玉環に対しては、うめ梅妃のかさかさした美しさをぶつけるのが正解だと思うし、本公演のうめちゃん梅妃がダメっていうんじゃないです。ただ、新人公演でしかできないみなみちゃんならではの梅妃をきちんと作りあげたことを、評価したいなと。
立ち居振る舞いも落ち着いてるし、台詞回しもしっかりしてたし、何一つ問題なかったなあ。なんでもっと使われないのか、ほんとわかんないです。檀ちゃんと同じくらい、一般受けを狙える美人さんだと思うんですが。
彼女の背も、そんなに問題視するほど大きいようには思わないです。私はね。アリヴェデルチローマを観てわかるように、ケロさん(そんなに背高くはない)とデュエット組んで、あれだけ美しく魅せられるんだから、大きさは彼女の欠点にはならないですよ。
「1914」の新公オルガであれだけはじけちゃって、イロモノも出来るってことも既に証明されてるわけですしw 来年は是非、新公ヒロインやらせてあげてほしい。っていうか、やらせろ。

【じゅんなちゃん@仙人】
本公演のエマクミチョ仙人は「すべては夢まぼろしなるを深く心に留め置かれ…」って一息でいうのです。
新公のじゅんなちゃん仙人は、ちょっとアクセントを変えて「すべては夢、幻なるを深く心に留め置かれ…」っていうふうに、「夢」と「まぼろし」のあいだに軽く間を入れてました。それによって、その後の話がすべて仙人がみせた夢だってことが強調されてました。ちょっとしたことなんだけど、物語の構造がよりわかりやすくなってていいんじゃないかと。

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